■中国常州レポート

佐古日記 2018.05

日本ではゴールデンウィーク(NHK的には大型連休)みたいですが、中国は通常営業…というわ
けでなく、5月1日がメーデーでお休み。3連休になるだけなのであんまりゴールデンウィーク感
はありませんが。さて、今回はもともと映画業界の用語だったゴールデンウィークにちなみ映
画の話。

中国といえば言わずとしれた「アレ」な国なので、一昔前は真っ赤なプロパガンダ映画ばっかりだったわけですが、最近はそんなこともなくアクション映画やアニメ映画も数多く上映されています(日映画も)。とは言え、今年も「厲害了,我的国!」(すげぇぞ、我が国!、なお英語名はAmazing China)というプロパガンダ映画偉大な中国の発展とそれを指導する習主席を称えるドキュメンタリー映画が上映され、大ヒットしたようです(チケットがバラ撒かれたとか、党員が動員されたとか、いろいろ噂はありますが)。中国というお国柄、外国映画の上映は自由に、というわけにもいかず外国映画の年間上映本数が決まっています。そうなると興収が見込めるハリウッドの娯楽大作が優先され、邦画はなかなか上映されません。そんな中で健闘したのが「君の名は。」。(なお、中国では「?的名字。」)性表現に対する規制も厳しいため、「寝起きのお約束」がカットされるんでは、という噂もありましたが、なんとノーカットで上映されました。連日満員御礼となり、公開2週間で90億円の興行収入。邦画の中国での記録を塗り替えました(なお、それまでの記録はStand by meドラえもん)。 image
コラム書くにあたってせっかくなので映画を見に行きました。独りで。ガッキー主演のMIX。
中国語では「恋愛回旋」。
公開終盤だったこともあり、お客さんは5人。
image2 チケットは日本と比べるとかなり安く、常州では18元(約300円)~と気軽に見に行ける価格。4DXでも1,000円くらいです。チケットを買うのも最近はスマホから。見たい映画を選ぶと現在位置から近い映画館が表示され座席も指定できます。映画館についたら発券端末でチケットを発券するだけです。前に紹介した支付宝(アリペイ)などから直接予約・支払いまでできるので便利。このシステムになってから映画が身近になり、見に行く回数も増えました。発展目覚ましい中国、色んな所でショッピングモールが建設され、それに合わせてシネコンも増えています。2016年には映画館が1日あたり19スクリーン増えたらしく、2017年にはアメリカのスクリーン数を抜き世界一の映画大国となりました。ちょっと調べたら家から500mの範囲に映画館が6軒。新しいところはIMAXだったりドルビーなんとかが入っていたりと、設備も最先端。
映画館においてある発券端末。スマホの画面のQRコードを読ませるだけでチケットが出てきます。タッチパネルになっていてこの端末から購入することも可能。でも、支払いはスマホ。
そんな映画世界一の中国でハリウッドとしてはもっと上映したいけど、上で書いたように外国映画は枠が決まっているので上映できない。その枠を破る方法が「共同制作」。いろいろとルールはあるようですが、中国資本で映画を作り、中国人の俳優を出演させることで外国映画の枠から外し、自由に上映できるようにしました。最近のハリウッド映画で中国人俳優が出ていたり、中国の製品が出ていたりする場合はそれ。数年前見たインデペンデンス・デイ:リサージェンスでは唐突に中国トップの国営乳業メーカ「蒙牛」の牛乳を飲むシーンがあり、地球と月との通信も中国のメッセージングソフトの「QQ」。そして中国人女優のAngelababyが重要な役どころ。あからさまな広告っぷりに牛乳を飲んでいるシーンでは観客から冷ややかな笑いが起きました。

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ある日の映画館のスケジュール。3Dの中国映画2本、2Dの中国映画2本、日本映画1本、フランス映画1本、3Dのアメリカ映画2本2Dのアメリカ映画1本。3Dも2Dも値段はほぼ変わらず18元~25元。

映画大国となった中国ですが、マナー面ではまだまだ。上映中に電話がなるのはもちろん、通話をする人も。エンドロール途中に帰るのは当然で、以前もスタッフに「このあとはもう無い」と言われながら追い出されるのに抵抗して居座っていたら、エンドロール途中で上映が打ち切られました。ジャッキー・チェンの映画でエンドロール途中にNG集が流れていたのはそういう意味があったのかと納得。実は映画を見るという習慣がなく、日本で見た本数より中国で見たほうが多くなったかも。ただ座って見ているだけなのになぜかエネルギー使うので積極的に見に行こうとしないんですが、嫁さんに無理やり連れて行かれるので…。このゴールデンウィーク(っぽい3連休)にも「メアリと魔女の花」が公開されるっぽいんですが、嫁さんに気付かれないようにおとなしく過ごそうと思います。というわけでまた次回。

■佐古日記(2018.05)

■佐古日記(2018.01)~

 

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