■中国常州レポート

佐古日記 2021.01

 2020年はコロナに翻弄された1年でした。
 発生地だと言われている中国では、現時点では押さえ込みに成功しています。「虚偽だ」「隠蔽だ」とおっしゃる向きもありますが、中国国内にいる限りそのように感じることはありません。下手に隠して感染拡大した方がマイナスだと判っているのだと思います。
 と言うわけで、ここ最近の状況を。

 11月に上海ではこれまで数ヶ月間出ていなかった市中感染が発生し、ちょっとだけ警戒度が上がりました。浦東空港の貨物ターミナルで働く人とその家族が感染したもので、「航空貨物か貨物便のクルーとの接触が原因では」と考えられています。
 上海市の対策部門は、感染者が住む団地を「中リスクエリア」に指定し、移動を制限。団地の全住民と濃厚接触者、貨物ターミナルの職員全員に対して、複数回のPCR検査を実施しました。その後新しい感染者が2週間出なかったため警戒レベルは下がり、現在は通常の生活に戻ることができています。

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携帯電話の基地局情報を元にした行程カード。ホテル宿泊の際などに提示を求められます。上海に「中リスクエリア」があったため、赤字に。

 このように1例発見すると濃厚接触者を特定し、居住地一帯の住民の移動を止め、全員を検査することで感染が拡がるのを防いでいます。今回確認されたのは上海の東の端、浦東空港近くだったため、上海中心部はいつもと変わらない生活が送れていました。(一口に上海市と言っても福岡県より大きいので・・・。)

このところ中国各地でちょくちょく市中感染症例が発生しており、発生源を見ると

  1. 海外からの輸入冷凍品?(天津、大連、青島)
  2. 海外からの航空貨物?(上海)
  3. 国境・境界近く(雲南省、内モンゴル自治区、黒竜江省、深セン)
  4. その他・現時点で不明(成都)
 となっています。

 最近、中国政府は盛んに①のようなコールドチェーンによる輸入症例を発表しています。COVID-19が初めて確認された武漢で大規模感染が発覚したのも水産品市場だったことを考えると、「武漢もコールドチェーンによる輸入症例だった」と暗に主張しているようです。
 ホントのところは分かりませんが。
江蘇省では市中感染は長らく起きておらず、弊社のある常州市では一部の施設を除き、検温なども実施されていません。ショッピングモールなどではマスクなしでも大丈夫ですし、映画館も飲食禁止、マスク着用は必須ながらも、一席おきとかではなくすべての座席が使用できます。

 多くの日本料理屋や「接待を伴う飲食店」が集まる漢江路も営業中です。コロナ前よりも駐在日本人や出張の日本人が減った分、経営的には厳しいところが多いようですが、それでも人気のお店は予約なしでは入れないほどです。テーブルの配置もコロナ前と同じなので、そんなお店は当然「密」状態になるわけですが、市中感染が起きていないため、それも問題ありません。 image2
LED煌めく漢江路。

 2020年は6月、8月、11月と一時帰国のフライト予約を入れていたわけですが、残念なことにすべてキャンセル。そろそろ一時帰国したいところなんで、2月の春節に合わせ予約を入れていますが、さてどうなるか。11月の日中外相会談でビジネス往来の取り決めがされましたが、フライト便数は未だ制限され中国入国時の隔離も継続中。状況は以前と変わりありません。
 「2月のフライトもキャンセルなんだろうな、飛んだとしても隔離が必要なんだろうな」などと思いつつ、淡い期待を抱いています。この結果はまた次回に。

佐古日記 2020.10

 ようやく秋の気配が感じられるようになり、朝晩は肌寒い日もある常州です。上海や江蘇省近郊では新型コロナウイルスの市中感染はゼロが続いていますが、輸入症例は毎日数件発見されています。輸入症例の水際対策として中国は強制隔離措置を執っており、そんな状況の中で弊社総経理の中原が中国に戻ってきました。今回はそんなお話。

 1月の春節休み中、東南アジアを旅行していた弊社総経理。2月上旬に経由地のマカオから常州入りする予定が、新型コロナでフライトがキャンセルとなり、関空行きに振り替えられ、日本に帰国していました。

 中国国内での感染が拡大し、移動制限等が厳しい状況で中国に戻るのを先延ばしにしていると、諸外国での感染が爆発的に増え、輸入症例が問題となったため、中国入国時に14日間の強制隔離措置が執られるようになりました。当初は夏頃には隔離措置も解除されるだろうと楽観視していましたが、2020年9月現在未だに解除されていません。入ってくる人自体を減らすために、発行済みのビザや居留許可は無効に、フライトも各航空会社週1便に減便されました。

 総経理は隔離措置がなくなるまでは日本に滞在するつもりだったようですが、8月の上旬に中国入りしました。

 まずは岡山出発から。コロナ前なら岡山空港から直行便が出ていたのですが、日本の受け入れの問題で、関空と成田しか国際線が飛んでいないため、近い関空まで移動。関空までの空港リムジンバスも運休なので、新幹線から23 kgのスーツケース2個+機内持ち込みのカバンを必死に運んで関空着。

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 上海のホテル。漂う古さとバランスボール。

 関空ではチェックイン時に体温測定とスマホで中国政府の要求する健康情報の登録の確認がされ、手指消毒。フライト自体はいつも通りで機内食も出て搭乗率もほぼ100%だったようです。マスクだけの人がほとんどですが、フェイスガードや防護服着用の人もいたようです。

 上海の浦東空港到着後、問診とPCR検査が行われ、行き先ごとに別れ隔離ホテルへ。以前は上海から入国した人は上海で14日間の隔離だったのが、上海の隔離ホテルが逼迫しているため、7月末から上海7日+目的地7日の隔離になり、総経理もそれに該当したので、上海のホテルに7日間、常州のホテルで7日間の隔離となりました(その後さらに逼迫したようで上海3日、目的地11日に変更になりました)。

上海のホテルは、エアコンはついているものの、冷蔵庫は無し。古い中国のビジネスホテルと言った風情。部屋の広さはそこそこあり、後述する室内での運動もできたようです。ホテルを選択することはできず、同じ便に乗っていた常州の会社勤務の方は、上海郊外の安いチェーン系のボロホテル。隔離ホテルの良し悪しは完全に運のよう。

 上海での7日間の隔離後は、常州へ移動となりました。常州での隔離は、有名なテーマパーク「常州中華恐竜園」近くのホテル。恐竜園に行く家族連れをターゲットとしており、広いファミリールームには機関車トー○ス風の装飾と子供用の二段ベッド。さらに滑り台。そこにおじさん一人。上海のホテルに比べると新しいこともありきれいで広く、冷蔵庫もあり、上海に比べかなり快適だったとのこと。
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 常州のホテル。トー○ス風。
 隔離中、食事は基本的に毎食ローカル料理の弁当が支給されます。隔離当初は半年ぶりの中国ローカル飯ということでかなり難儀し、日本から持ってきたレトルト食品や缶詰、カップ麺などで急場をしのぎ、ふりかけやレトルトカレーを弁当にかけるなどの工夫をすることで乗り切ったようです。
 また、スープジャーやフードコンテナと呼ばれる保温できる容器を使い、レトルト食品を温めたり、生タイプうどんを作ったりしていたそうで、それなりに充実した食生活だったよう。
 上海では出前や差し入れは禁止されていたのですが、常州のホテルでは差し入れが可能で1度だけ差し入れを持って行きました。ちょっと摘まめる甘いものと、総経理が「どうしてもアイスが食べたい」とのことで、クッキーやポテチなどとともに、ご希望のアイスクリームを見繕って持ち込み。フロントに預けて後ほど部屋まで配達される仕組みで、すぐに配達されたこともあり、アイスが溶けることもありませんでした(が、アイスのお味がお気に召さなかったらしくご不満のようでした)。

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 充実した食生活の一端。

 14日間、狭い部屋から1歩も出ることを許されず、運動不足になることは確実。総経理は折りたためて便利なバランスボールを日本から持ち込み、椅子代わりにそれの上で生活していたそうです。また、部屋もそこそこの広さだったため、歩き回ることで1万歩以上の歩数の日もあったとか。スマホにはラジオ体操の音源を入れていて、毎朝定時にラジオ体操をして体を動かすことで、時間のメリハリをつけていたそうです。

総経理に、隔離中レトルト食品などの食品以外に便利だったモノ、必要だったモノを聞くと、
  1. 電子体温計(1日2回、検温して報告の必要あり、支給される水銀体温計は不便)
  2. 粉末・液体のお茶、コーヒー(支給される飲料水に溶かすだけで飲めて便利)
  3. 洗濯ひも、洗濯ばさみ(下着など手で洗って干すため)
  4. ふりかけ・調味料・香辛料(味変して飽きずに弁当を食べるため)
などのお答えをいただきました。隔離予定の方は参考にしてみてください。

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 支給された水銀体温計
 日本じゃ見なくなって久しいですね。

 そしていよいよ解放の時を迎えます。
最初は数週間の旅行の予定だったわけで、しっかりとした準備もせずに放置され、しかもひと夏を越した総経理中原邸。恐る恐る入ると、ひどい悪臭。どうやら排水トラップの水が蒸発していて悪臭が上がってきただけのようで、水を流し換気をすることで、すぐに解消。思ったよりも荒れてはおらず、すぐに生活できる状態で安堵していました。鍋に忘れられていたゆで卵が発見されるまでは・・・。

 じわじわと人的交流が増えてきている印象ですが、まだまだ自由に往来できない日中間。日本に帰れる頃には隔離措置もなくなっていて欲しいと思いつつ、2週間のホテルステイも体験してみたいとちょっとだけ思っています。そんなに甘いものじゃないとは思いますが。
 というわけでまた次回。

佐古日記 2020.07

  6月も半ばとなり、常州は雨が続いています。およそ半年となる新型コロナウイルスの流行も新しいステップに入り、前回とも様相が変わってきました。現在の様子をご紹介します。

 常州市内では、ほぼコロナ前と変わらない状況になってきました。マスク着用を強制されることはほぼなく、スーパーやショッピングモール、レストランに入る際にも「マスクなし」「検温なし」「健康コードの提示なし」で大丈夫になりました。ただ、バスや地下鉄、5月から再開した学校などではマスク着用が義務付けられています。封鎖されていた団地の入口のバリケードも撤去され、ジムやカラオケ、マッサージやプールなども営業再開しています。まだ営業していないのが映画館。7月以降に再開するようです。

 しかし、中国政府は警戒態勢を緩めていません。4月後半以降は、国内での感染者の発生は落ち着き、海外からの入国・帰国者から毎日数人発見されるような状況でした。5月半ば以降、中国各地で小規模クラスターがポツポツと発生し、日本でも報道されているように、6月半ばには北京の卸市場でクラスターが発生。北京市は3級まで落としていた警戒レベルを2級に引き上げ、一帯を高リスク地区に認定、ロックダウン状態とし、付近住民や市場関係者35万人にPCR検査を行っています。

 首都北京ということ、更にクラスターの規模が大きかったこともあり、遠く離れた常州市でも、5月30日以降に北京の卸市場に行った人、市場関係者と接触した人に対し、自治会へ自主的に申告し、PCR検査を受けるように発表しました。常州市の発表では、強制的な隔離措置を取るとは明記されていませんが(たぶん隔離される)、上海市では高リスク地区から来た人へ14日間の集中隔離と2度のPCR検査をすると発表されています。

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前回ご紹介した団地のバリケードもきれいに無くなっていました。

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北京の卸市場でのクラスターを受けて会社の近くの市場でもマスク着用、検温を行う旨の案内。ちなみに検温する人もマスクをしている人もいません。

 北京クラスターの最初期には「サーモンを切ったまな板からウイルスが検出された!!」と報道され、スーパーや日本料理屋で中国人が大好きなサーモンの刺身が販売中止という騒ぎになりましたが、流石にそれは無いよねってことで、数日で騒ぎは収まりました。ウイルスのDNA検査の結果、3月頃にヨーロッパで流行したタイプのようで、3月末から外国人の入国を基本的に禁止している状況を考えると、無症候感染者がじわじわと感染を広げて、市場で爆発したのではと言われています。

 このように日本とは違い、中国は積極的にPCR検査を行うことで感染者を発見、隔離する方法で抑え込んでいます。4月後半には感染者・入院患者がゼロとなった武漢でも、5月に6人のクラスターが発生したため、再流行を懸念した武漢市政府は、10日間で武漢の市民1000万人全員にPCR検査を行いました。「十日間大会戦」と名付けられたこの作戦で約200人の無症候感染者を発見、隔離治療を行いました。
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元気に"広場舞"をしているおばさま方。4月には出来なかったことです。

 中国ではPCR検査は自費でも受けることができます。常州の公立病院では、どこでも240元(約3,600円)出せばすぐにやってくれるようです。何とかセンターに電話しろとか言われることもありません。
 各国それぞれやり方があり、良い悪いを判断するような知見も持ち合わせていませんが、中国のやり方は住んでいて安心感はあります。その分人的・資金的なリソースをかなり割いていることも事実。今の中国だから出来るやり方なのかもしれません。

 第二波を警戒して永正机械ではマスクと消毒液の備蓄を行い、個人的にもいつロックダウンされても良いように自宅籠城用の保存食の備蓄をちびちびと進めています。前回の最後に書いた6月の日本帰国のフライトはキャンセルになったので、改めて8月のフライトを予約しましたがこれもどうなることやら。そろそろ日本から物資を補給したいところですが、まだしばらく我慢となりそう。

 というわけでまた次回。

佐古日記 2020.04

 気温が20℃を越え、ようやく春らしい季節になってきました。
 が、新型コロナウイルスの影響でまだまだバタバタしている常州です。日本では「PCR検査が~」とか、「政府の対応が~」とか色々と議論はあるようですが、専門家でもないですし、ここで提言をしたところで何の影響力もないので、今回は中国で行われていた新型コロナウイルス対策の話。(状況や政策等はめまぐるしく変わっていて、以下の情報は3月19日時点でのものです。)


 今年は1月24日から1月30日までが国が決めた春節(旧正月)の休暇で、永正は1月22日から2月2日までを休みとしていました。
 春節休暇前までは、まだどこかで対岸の火事のような感じでしたが、あれよあれよという間に感染が広がり、休みも中盤になる頃には厳戒態勢。

 1月27日には、国務院が「2月2日まで春節休暇を延期する」と発表し、1月29日には江蘇省が「2月9日まで企業の業務再開を禁止する」と発表しました。

 業務再開には、政府の許可が必要で、許可の条件として
  ・従業員のリストを提出
  ・1日2枚のマスク配布
  ・1日2回の体温測定、記録
  ・工場内に入る人の体温測定、名前、電話番号等の記録
  ・発熱があった場合の隔離室の設置
  ・セントラルエアコンの使用禁止
 などの対策を取る必要があり、特にマスクの入手に困った会社が多かったようです。

 永正は2月17日に営業再開し、現時点でほぼ通常通りの営業となっています。
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出勤時の検温の様子。検温と同時にマスクを配布します。

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いつもは車も人も多い常州中心部の道路の様子。上はまだまだ厳しい2/20頃、下はかなり緩くなった3/15頃

 続いては、生活周りの状況を。
 一番厳しい時期は、ショッピングモールなど人が多く集まるところは営業休止となっていましたが、生活に必要なスーパーマーケットなどは開いていました。 もともと春節中は物流が止まるので、生鮮食料品の供給が追いつかないことがあるんですが、什器がカラになるほどではなく、モノの不足を感じることはありませんでした。ショッピングモールなどは次第に営業再開していますが、生活に直結しないジムやプール、マッサージ、カラオケなんかは未だに営業休止中です。学校もごく一部は再開しているようですが、基本的にお休み。オンライン授業が行われています。
 会社、学校が休みなので、公共交通機関も動いていませんでした。バスは全路線で運休、地下鉄も普段なら1時間に10本程度あるんですが、1日に16本。それでも人はほとんど乗ってなかったようです。
 現在はバスも地下鉄も春節前とほぼ同じ状況になりました。

 休みの初期は、政府から「外出を控えるように」との指示はあったものの、家の出入りに規制はなく、普通に生活できていました。
 しかし2月2日頃からは、マンション・団地を封鎖して、住民しか入られないようになり、住民にカードを配布し、出入りを管理していました。マンションによっては、「2日1回1家族1人まで外出可」といった制限を設けているところもありました。
 ウーバーイーツ的な出前や宅配便も、マンションの入り口までしか運んでもらえません。なお、出前を頼むと作った人、包装した人、運んだ人の名前と体温が記入してある紙がついてきます。
 エレベータはボタンに触れるので感染の危険があるということで、操作パネルにラップが張られ数時間ごとに交換、ボタンは「備え付けのつまようじで押すように」との指示。意味があるんだかないんだか。密閉空間ということもあり、数時間おきに消毒を行っていて、常に塩素系の香りがしています。
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マンションの出入証。このカードがあれば住民として敷地に入ることが許されます。

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封鎖中の団地の入口。いつもは複数の門が開放してあり、出入り自由なんですが、現在も1ヶ所からしか入れません。

 感染者が発生した場合、すぐに濃厚接触者が追えるよう、ポイントポイントで名前と携帯電話番号の登録、身分証明書の確認、体温測定などが行われています。 当初は紙に記入していたんですが、スマホによるQRコードを使った健康コードシステムが稼働、QRコードの色がその人の状況(緑:健康、黄:要観察、赤:要隔離)を表し、スキャンすることでその真正性を確認できます。駅やショッピングモール、オフィスビルに入る際には、それの提示を要求されます。
 上海の地下鉄では、車両内での濃厚接触者を探すため、すべての車両にユニークなQRコードが張られ、乗車したらそれをスキャンし、携帯電話番号を登録します。
自家用車で移動するときでも、省の境界やインターチェンジに検問が設置され、スマホでどこから来てどこへ行くのか、住所、携帯電話番号などを登録をする必要があります(江蘇省はなくなりました)。

携帯電話の位置情報を利用して、この1か月に滞在した場所を表示するシステムもできました。これで武漢や温州などの高リスク地区の滞在歴がないことを証明できます。

 今までも政府にある程度移動の監視をされていたわけですが、今回の新型コロナウイルスによってそのレベルがかなり上がった感じがします(状況が落ち着けば取りやめるとは思いますが)。全ての移動を政府に見られているというわけで、日本人からすると恐怖かもしれませんが、中国人は状況が状況だから仕方ないと受け入れているよう。
 逆に「日本の新型コロナ対策が甘い」と中国人は思っているようですが、日本の法制度上難しいとは理解してもらえません。日本じゃ新型インフルエンザ特措法の私権制限で揉めて造反した元検察官の代議士が離党したみたいですが、そんなのはもっと理解してもらえないでしょう。

 常州は2月18日以降、新規感染者は出ておらず、3月7日にはすべての感染者が治癒退院しています。
 江蘇省としても2月19日以降に新規感染者は出ておらず、3月14日にはすべての感染者が治癒退院しました。
 そのため、外国からの輸入症例を警戒しており、日本を含む計16か国からの渡航者及び過去14日間にこれらの国々での滞在歴がある人は、国籍を問わず14日間のホテル等での集中隔離を行っています。
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江蘇省が発行する健康コード。健康なので緑です。
 日本に帰っても14日間隔離なわけで、日中往復するとほぼ1か月隔離生活。今までみたいに気軽に日本に帰るのは難しい。しばらくは「中国でおとなしくしてろ」との思し召しだと思うようにします。
 が、6月のフライトの予約を取っているので、それまでに規制が解除されるかが悩みの種です。

というわけで、また次回。
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「早く発見、早く報告、早く隔離、早く診断、早く治療」街中こんなスローガンだらけ。疫病に勝利する!など威勢のいい文言も。疫病もプロパガンダに。

佐古日記 2020.01

2020年となりました。常州は相変わらず年末年始は何事もなく、春節の雰囲気が出てきたかな?くらいです。今回は新しいスポットの話。

 常州はここ数年、古い繊維工場をカフェやバーが入る「運河五号」という観光スポットにリニューアルしたり、歴史的建造物にイルミネーションを整備したり、観光案内所を設置したり、案内看板を増設(しかも日本語あり)したりと観光に力を入れているようで、新しいスポットの開発にも余念がありません。 image
青果巷入口。立派な門が建ちました。
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上が昔、下が現在の青果巷。奥に同じビルが見えます。所々にリニューアル前の写真が飾ってあり、対比してみるのも楽しい。
 そんな中、2019年春に新しくオープンしたのが「青果巷」。オープンとは書いたものの、もともとは明の時代にできた古い通りで(日本語の案内看板によると「横丁」)、つい最近まで昔の雰囲気を残し、現に人々が生活する通りとして知られていた所をきれいに整備・観光地化したもの。歴史ある古い街並みと生活感あふれる感じで知る人ぞ知るスポットだったわけですが、映え映えのオシャレスポットに様変わりしました。

 そんな青果巷、前にも紹介した京杭大運河のほとりにあり、昔は果物の集散地で、「千果巷」と呼ばれていたそうですが、常州方言で"千"と"青"の音が似ていたらしく、いつの間にか青果巷に変わったとか。日本語的には後者のほうが果物っぽいですが。

 500mほどの短い通りではありますが、特筆すべきは「江南名士第一巷」と呼ばれていること。唐の時代から当時の高官などが移り住み、科挙で高成績を上げた人物や政治や芸術、科学などで名を成した人物を排出したことで有名です。

 挙げるときりがないらしいのですが、有名どころでは

   唐?川(とうけいせん)- 明代の文学者、思想家、軍人。当時上海近海に出没していた倭寇(日本の海賊)を撃退した。
趙元任(ちょうげんじん)- 近代の言語学者。四書の内「大学」を6歳で習得、アメリカの名門コーネル大学に留学して歴代最高成績で卒業、アメリカ言語学会会長などを歴任。「中国現代言語学の父」と呼ばれる。
張太雷(ちょうたいらい)- 中国共産党最初期の党員の一人、指導者。モスクワで開かれたコミンテルン第三回大会に中国代表として出席。
瞿秋白(くはくしゅう) - 近代の革命家、作家。中国共産党の3人目の最高指導者。
周有光(しゅうゆうこう)- 近代~現代の言語学者。中国語のラテン文字表記法であるピンインを考案し、「漢語ピンインの父」と呼ばれる。100歳を超えてから中国共産党・毛沢東批判を行う熱い人(その発言はなかったことになってる)。2017年1月に111歳で亡くなる。

 赤めの方が多いのは仕方ないですが、いろんな分野の方がでています。太字で書いた人は無料で入れる展示館があり、古い江南の邸宅の様子が見られるのでお勧めです。
 他にも、映え映えスポットらしく運河を望めるおしゃれなカフェやバー、お土産屋やタピオカドリンク屋も。ちょっと高めのレストランなんかもあります。また、まだ住んでる方もいるようで、生きた通りだと実感します。
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周有光旧居。図書館と銘打ってあり、貴重な資料が展示してあります。
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以前紹介した運河はすぐ裏。夜なんかはライトアップされて更に映え映えです。
 リニューアル前に何度か通った事があるんですが、車1台通れるかどうかですれ違いは絶対ムリみたいな道沿いに、すす汚れた白壁、夜だと窓から漏れる明かりと数メートルおきの街灯のみといった感じで恐る恐る通った記憶。まさかそんなに有名な通りだとは知らず、車ではもちろん、歩いて通るのは避けていました。今となってはもう少し味わっておけばよかった。後の祭りですが。ちなみに、アクセスは地下鉄1号線同済橋駅から北に徒歩5分ほど、文化宮駅から南に徒歩10分弱です。
 というわけでまた次回。

佐古日記 2019.10

 すっかり秋めいて朝晩は涼しくなってきましたが、ここ数日昼間は30℃超えが続いてる常州、まだエアコンが稼働しています。今回は地下鉄の話。

 かなり前に常州市内の公共交通のことを書きましたが、その際にも書いていた常州初の地下鉄が9月21日に開業しました。常州地下鉄(中国語では常州地鉄)は江蘇省で5番目、中国全土で40番目の開業で、1号線は35km、駅数は29駅(起終点駅含む)、地下鉄とは言うものの全てが地下ではなく南端の2km程は高架線で2駅は高架駅となっています。工事開始は2015年4月なので、4年半での開業となります。 image
開業に向けて準備が進む地下鉄常州北駅の入口、後ろは高速鉄道の駅(9月中旬撮影)

 今回開業する1号線は市内を南北に縦貫していて、最北端の森林公園駅から最南端の南夏墅駅まで所要時間は約1時間、乗り通すと7元(約110円)です。途中、上海-北京の高速鉄道の常州北駅、日本料理屋が多くある新区公園駅、上海-南京の高速鉄道・在来線の常州駅、建設中の2号線との乗換駅となる文化宮駅、建設中の蘇南沿江高速鉄道との乗換駅などを通ります。中国の公共交通は詳細な時刻表は掲示されず、殆どの場合運転間隔のみ公表されるんですが、常州地下鉄はラッシュ時で8分間隔、非ラッシュ時が10分間隔で運転されます。

image  永正机械の近くにも陽湖路駅ができました。南の終点南夏墅駅の一駅手前で高架駅です。先日、会社からどれくらいの距離があるのか調べてみたくなり、車のトリップメーターを使って測ったら1.4km。歩けないことはないけど微妙に歩きたくない距離なので、永正机械にお越しの際はご連絡いただければ陽湖路駅までお迎えに上がります。
開業直前の永正最寄り駅、陽湖路駅。高架駅です。

 切符は自動券売機で販売されるICカードです。タッチして入場し、出場は日本の自動改札機同様改札機に挿入して回収されます。すでにバス等で使われているチャージ式のICカードも共通して使用でき、常州地下鉄公式アプリを使えばQRコードでも乗車可能です。江蘇省内の共通交通カード「江蘇交通一?通」も使用できますが、上海の公共交通カードは使えないので注意が必要です。

 上でちょっと書いていますが2号線も建設中です。こちらは市内を東西に横断し全長20km、駅数は15駅(起終点・乗換駅の文化宮駅も含む)です。開業予定は来年の12月。こちらは自宅の近くにも駅ができるため、文化宮駅で乗り換えて地下鉄通勤もできなくはないんですが、毎日往復3km近く歩くのはちょっと… image2
地下区間を抜けて陽湖路駅への坂を登る試運転車両。

 実は今回、「もうすぐ開通します!」の体で書いていたのですが、締め切り直前の9月18日に開通日が発表されたので全面的に書き直しました。発表の3日後に全面開業と、なんとも中国っぽいんですが、まあもう慣れました。というわけでまた次回。

佐古日記 2019.7

 前回ご紹介した常州のニューリテールスーパー小象生鮮ですが、記事が公開された2週間後になんと閉店してしまいました。結構便利に使っていたんですが、客の入りはイマイチ、デリバリでもあんまり動いている雰囲気もなく…盒馬鮮生の方はすごい勢いで伸びているみたいなんですが、何が悪かったんでしょう。常州には早すぎたのか…?
 さて、今回は果物の話。

 中国で初夏になると楽しみなのが果物。日本では到底お目にかかれないような果物を安く買うことが出来ます。この季節にはまずライチ(茘枝)。ライチは広東省や福建省南部で栽培されていて、食べられるのは5月中旬から7月くらいまで。最近は日本でも生ライチを見かけるようですがまだまだ高級品。常州では500グラムほどで160円ほど。
 14世紀頃の農書に「一日で色が変わり、2日で香りが変わり、3日で味が変わり、4日で色も香りも味もなくなる」と言われるほど足の早いライチ。楊貴妃が愛した果物と言われ、中国南部から早馬で長安(今の西安)まで運ばせたそうですが(Google Mapで測ると直線距離で1,400キロ位)、届いた頃には味も香りもなくなっていたような気も。

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常州市内の果物屋。一番手前に旬のライチ。中国の果物屋はなぜか深夜まで開いている。謎の一つ。
image  ライチとほぼ同じ頃に出てくるのがマンゴスチン。東南アジア原産の果物で、中国でも少し栽培されているようですが、基本的にはタイやマレーシアからの輸入品です。6個で400円ほど。暗い赤紫色の厚い皮の中にみかんの房のような形の白い果肉が入っていて甘さと爽やかな酸味が特徴で果物の女王と呼ばれています。と、ここまで知ったように書いていますが、先日初めて食べました。好きな果物ダントツ1位だったライチを脅かしています。
マンゴスチン。厚い皮の赤い色素は服につくと取れないので注意。
 果物の女王があれば王様も。ご存知ドリアン。あの臭いやつです。実は苦手で殆ど食べたことはありません。タイで売っているドリアンチップスは美味しくいただけるんですが。こちらも中国南部で栽培されていますが、輸入品も多く入ってきています。生食もしますが加工食品も多く、ドリアン飴やドリアンパイやドリアンケーキやドリアンピザなどがあります。食べませんが。 image2
ちょっと高級なスーパーの果物売り場。一番手前はお尻がランブータンでお馴染みランブータン。真ん中にプチトマト。
 南方系の果物が続いたので、常州近辺の話も。永正のある常州や無錫あたりでは果物栽培が盛んです。なかでも桃やぶどうは名物で、無錫の陽山水蜜桃というのはよく知られています。世界で一番美味しいとか言われているらしいですが、硬くてりんごのような食感で、ほんのりと甘い桃を初めて食べたときは衝撃でした(甘くて柔らかくてジューシーな桃もあります)。岡山出身の弊社総経理には到底食えたものじゃないらしく、見向きもしません。 image2
旬の果物をトラックで売るのはよく見る光景。安いので若干怪しいと思ってる。
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事務所に無造作に置いてあるパパイヤ。誰かがつまんで終業時にはなくなってます。
 他にも西瓜やメロン(ハミウリのハミはウイグル自治区の哈密から)、マンゴーやパパイヤやパッションフルーツやらドラゴンフルーツやら日本で見かけるものから見ないものまであり、しかも格安です。果物自体なかなか食べなかったんですが、中国に来てからよく食べるようになりました。中国に来てからまだ解決していない謎の一つにプチトマトとキュウリを果物屋で売っていることがあります。中国人もフルーツの一つとして食後に食べたり、3時の休憩時に食べたりしてます。もちろん普通の料理にも使うので八百屋にも売っているわけで。謎です。謎のまま今回はここまで。また次回。

佐古日記 2019.4

 春節前からずっとどんよりとした天気が続いていた常州ですが、ようやく晴れの日が増え、春らしい気候になってきました。今回はニューリテールの話。

image  そもそもニューリテールとはなんぞや、という話ですが、英語で書くと「New Retail」、中国語だと「新零售」、直訳すると「新しい小売」。中国のIT企業(と言う表現が適切かどうかわからないくらいいろんなことをやってる会社ですが)アリババの創業者馬雲(ジャック・マー)が提唱したオンラインとオフラインを結びつけ、新しい購買体験を提供するという概念のこと。ものすごく簡単に言うとインターネットでのお買い物とお店でのお買い物を融合してしまおう、ということらしい。
中国全土で7店舗しかないのに何故か常州に3店舗もある小象生鮮
 そのアリババのニューリテールを実践するお店が「盒馬鮮生」。2017年夏に鳴り物入りでオープンし、今では中国全土に137店舗(3月半ばにHP上のお店一覧で数えた)。
 その盒馬鮮生は残念ながら常州には進出しておらず、新しい購買体験ができない!時代に置いて行かれる!と嘆いていたわけですが、アリババと並ぶIT企業テンセント系列の美団が常州にニューリテールスーパーをオープン。アリババがカバ(河馬、盒馬と発音が同じ)ならテンセントは象だということで小象生鮮というお店がオープンしました。ニューリテールスーパーの特徴は端的に言ってしまうと、「お店でも買えるしネットでも買える」。それであれば既に日本の大手スーパーなどもネットスーパーがありますが、日本のそれとは大きく違い、オンラインとオフラインのシームレスなサービスを提供しています。 image2
ネット注文の商品をピックアップする店員さん
 ネットでの購入の場合、スマホのアプリで注文するとエリア内なら49元以上購入で配送料無料。しかも30分以内に届けてくれます。届けてくれるのは美団の配送員。美団はもともとフードデリバリー(ウーバーイーツ的な)のサービスでその配送員を使うことで30分配送という迅速な配送を実現しています。お店の天井には自動搬送ラインが備わっており、ピックアップした商品が搬送、集積され発送されています(あんまり使われてないけど)。
image  お店で購入する場合も普通のスーパーとは違います。量り売りが多い中国のスーパーに対してネットでも売りやすくするため肉も野菜もすべてパック詰めしてあります。値札はすべて電子ペーパーで逐次更新されていてネットとお店で価格が食い違うことはありません。その値札にもバーコードがあり、それをスマホアプリで読み込みその場で決済、レジを通らずにそのまま持って帰ることも可能。普通のスーパーに慣れた身としては売り場でそのままカバンに入れるのは非常に後ろめたいことをしている気分になるのでやったことはないです。その場で決済して後ほど配送してもらうこともできます。
電子ペーパーの値札。2本目半額などの割引情報もネットと同期しています。
 その場で決済しなくてもちゃんとレジはあり基本はそこで支払いをします。壁に設置された大きな画面付きのレジで商品のバーコードをスキャンして、スマホで支払い。現金やクレジットカードなどは使えません(噂によるとお願いすれば現金払いは可能らしい)。テンセント系のため、アリババ系のAlipay(支付宝)は使えず、WeChat Pay(微信支付)か、専用アプリに登録した銀行カードからの引き落としです。 image2
実は登録さえしてれば顔認証支払いも可能で、スマホさえも必要なかったりします
image  イートインスペースがあるのも特徴。ワンタンや麺類、チャーハンなどの中華料理からステーキやグラタン、寿司などの外国料理もあります。スーパーの生簀を泳いでいる魚やエビ、貝類を買ってその場で調理してもらうという、沖縄の公設市場的なこともできます。料理の注文はスマホから。食事中に飲み物が欲しくなったときは上で書いたように売り場から持ってきてスマホで決済してそのまま飲むことができますが、やはり後ろめたさを感じます。
日本のショッピングモールのフードコートとは違い、完全にスーパーの中にあるのでちょっと違和感。

 と、新しいスーパーの話に終始しましたが、ニューリテールは更にAIやビッグデータなどを使ってユーザの嗜好を把握してアプリでおすすめしたり、地域の消費傾向を元に在庫を極限まで減らし店舗運営の効率を最大化する…のようなもっと深い話になりますが、ここではとりあえず身近なところまで。もっと知りたい方は中国でとりあえず「新しい小売」を体験してみてください。ここに書いたいこと以上に驚くことが多いと思います。ただ、キャッシュレスなので旅行者には支払いが大変ですけど。というわけでまた次回。

佐古日記 2019.1

常州も急に寒くなり、風邪をひくスタッフ続出の永正機械です。2019年1回目は常州日商倶楽部の話。

先日、2018年の常州日商倶楽部の総会・セミナー・懇親会が行われ、常州永正機械も参加してきました。常州日商倶楽部とは、常州市に進出している日系企業を会員とする組織で(賛助会員として現地企業や常州近郊の都市に進出している日系企業も入会できます)、常州の日系企業を代表する組織となっており、常州市政府との交渉や、上海総領事館・ジェトロ(日本貿易振興機構)との連携など日系企業が円滑に運営できるように活動しています。会員になると倶楽部が主催するセミナーに参加できたり中国人従業員の日本のビザ発給に必要な資料が簡素化されるなどのメリットが有り、2018年12月時点で132社が会員となっています。 image
2018年12月のゼミナーでは常州市政府に危険廃棄物やビザ制度などについて講演を行っていただきました。



常州日商倶楽部は2017年に常州日系企業倶楽部を改組して始まった会。改組前は1社が幹事会社として行っていたものを特定の企業や個人に依存しないように幹事会社を複数置き、継続して会の活動ができるようにしました。なお、常州永正機械は改組された2017年より事務局の大役を仰せつかっており、総経理の中原が代表として会合などに参加しています。
image2 倶楽部では毎年2回程度セミナー・懇親会を行い、その他にもスポーツ大会や会員企業の工場見学などを行っています。セミナーでは在上海日本国総領事館の領事をお招きして最近の日中関係などについて講話を行っていただいたり、中国の弁護士や専門家をお招きして海外で生活する上で必要なことや、日系企業を運営する上で必要な法律や条例について講演していただいています。最近では、
・江蘇省女性従業員労働保護条例の解説
・食の安全
・税務調査の動向
・環境汚染対策
・労災対策
2017年夏のセミナーと同じ日にインテル対シャルケが常州で行われ、シャルケのメンバーの控室がセミナーが行われるホテルと同じで元日本代表内田篤人選手に遭遇するという奇跡。



などのセミナーが行われました。労災対策や環境汚染対策は政府が力を入れていることもあり、非常に有用な情報が得られ、会員からも好評だったようです。
セミナーのあとには懇親会が行われるのが恒例。常州市政府の幹部の方や、上海総領事館の領事なども参加し、会場のホテルが準備した料理を楽しみながらいつも懇親会でしかお会いしない方とご挨拶したり、新しい会員の方と名刺交換したり、会員から募った景品が当たる抽選会が行われたりと毎回盛り上がります。(今回の懇親会では高校の後輩がいてビックリしました。高校の大先輩もいて、3人集まったので同窓会の常州支部を作ろうかと画策しています)
そんな常州日商倶楽部、ホームページがあるのでぜひ御覧ください。ホームページのお知らせついでに、常州永正機械のホームページも作りました。大したことは書いていませんが、合わせて見ていただくと私が喜びます。というわけでまた次回。

佐古日記 2018.10

9月に入り暑さも一段落といったところですが、季節の変わり目、みなさま体調はいかがでしょうか。実は6月末~7月中旬にかけて2回ほど高熱が出まして、休んでおりました。各所にはご迷惑をおかけしました。中国の病院にかかると扁桃炎との診断で入院直前だったんですが、入院は丁重にお断りして休養と点滴のおかげで回復。というわけで今回は中国の病院の話。

中国の病院、と聞くと「うーん」と思われるかもしれません。一昔前は設備も人もイマイチでできるだけ行きたくないところでしたが、最近はサービスレベルも上がってきています。CTやMRIなどの検査機器も外国製の最新鋭のものが入っているところが多くなっていて、(設備面だけは)バカにできません。 中国は日本以上に大病院信仰が強いのか、何があっても基本的に大病院に行くイメージ。大病院はいつも人で溢れています。そもそも日本で言う地域のかかりつけ医的な小さな診療所は少なく、公立の社区衛生服務中心(地域衛生サービスセンター)と呼ばれるところがその役割を担っていますが、設備もレベルも低いため予防接種のときくらいにしか使いません。 image
日本で言うカルテ。各自で保管して、複数の病院で共通で使います。日本もこうなればいいのに。





中国の病院のシステムで特筆すべきは、毎回お金を払うということ。「お金払うのは当然では」と思われますが、毎回の意味が違います。受診する前に初診料を支払い、検査が必要になれば検査代を支払い、点滴が必要なら点滴薬代と処置費を支払う。何をするにも前払いです。支払いの回数が多く、その都度カウンターか自動支払機に並んで支払いするのはとても面倒。しかし、検査や薬ごとに価格が出ているので、ブラックボックス的な日本の医療費よりはいいのかもしれません。

もう一つ、中国の病院でびっくりしたのが、点滴が大好きなこと。
専用の点滴室があり、椅子が100席以上並んでいて、老若男女がチューブを生やしている状況は日本ではなかなか見られないかも。頭が痛くてもお腹が痛くても何があっても点滴。点滴をしないと病気が治らないと思っているのでは、と疑っています。
image2 私も過去に幾度と病院にかかっていますが、点滴率はほぼ100%。今回の扁桃炎でも6回病院に行って10本の点滴を受けて来ました。点滴の針を指す場所も日本と違い、手の甲。最初の頃は痛そうだったので看護師さんにお願いして腕の内側でやってもらいましたが、「何だこいつ」といった顔をされました。翼状針が長時間腕の内側に入ってるのは怖いので、最近はもっぱら手の甲ですが。痛いけど。大量の患者を捌くには血管が見えやすい手の甲のほうがいいんでしょうか。ちなみに乳児はおでこから点滴。初めてみたときはギョッとしました。
会社近くの病院の「点滴ホール」。この病院は大きくないので部屋の中に30席ほど。席が足りないのか外の廊下にも椅子がおいてあります。
あと、中国といえば漢方。中国では中医と呼びます。日本では風邪を引いたときに葛根湯を飲むくらいしかイメージが無いかもしれませんが、そこは本場の中国。大病院には中医科と言う診療科があり、中医医院という専門病院まで。そこで処方される薬はもちろん漢方薬。日本みたいに分包にされ、飲みやすく加工された漢方薬もありますが、場合によっては生薬を組み合わせた小袋を渡され自分で煎じて飲め、ということも。台所で煎じると家中に得も言われぬ香りが漂い、その香りだけで健康になるような気さえします。

うちの嫁さんも何度か日本の病院にかかってますが、サービスの良さや医師の説明の丁寧さに感動し、SNSにあげて絶賛してました。医療ツーリズムで中国人を含む外国人が日本に押し寄せる、みたいな報道をここのところよく目にしますが、外から見てみるとその気持はよくわかります。もし入院するような事態になったら日本で入院したいと切に願いつつ、今回はこのへんで。また次回。

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上海の中医医院においてある李時珍の像。漢方薬の基となる本草綱目を編集した偉い人。

佐古日記 2018.05

日本ではゴールデンウィーク(NHK的には大型連休)みたいですが、中国は通常営業…というわ
けでなく、5月1日がメーデーでお休み。3連休になるだけなのであんまりゴールデンウィーク感
はありませんが。さて、今回はもともと映画業界の用語だったゴールデンウィークにちなみ映
画の話。

中国といえば言わずとしれた「アレ」な国なので、一昔前は真っ赤なプロパガンダ映画ばっかりだったわけですが、最近はそんなこともなくアクション映画やアニメ映画も数多く上映されています(日映画も)。とは言え、今年も「厲害了,我的国!」(すげぇぞ、我が国!、なお英語名はAmazing China)というプロパガンダ映画偉大な中国の発展とそれを指導する習主席を称えるドキュメンタリー映画が上映され、大ヒットしたようです(チケットがバラ撒かれたとか、党員が動員されたとか、いろいろ噂はありますが)。中国というお国柄、外国映画の上映は自由に、というわけにもいかず外国映画の年間上映本数が決まっています。そうなると興収が見込めるハリウッドの娯楽大作が優先され、邦画はなかなか上映されません。そんな中で健闘したのが「君の名は。」。(なお、中国では「?的名字。」)性表現に対する規制も厳しいため、「寝起きのお約束」がカットされるんでは、という噂もありましたが、なんとノーカットで上映されました。連日満員御礼となり、公開2週間で90億円の興行収入。邦画の中国での記録を塗り替えました(なお、それまでの記録はStand by meドラえもん)。 image
コラム書くにあたってせっかくなので映画を見に行きました。独りで。ガッキー主演のMIX。
中国語では「恋愛回旋」。
公開終盤だったこともあり、お客さんは5人。
image2 チケットは日本と比べるとかなり安く、常州では18元(約300円)~と気軽に見に行ける価格。4DXでも1,000円くらいです。チケットを買うのも最近はスマホから。見たい映画を選ぶと現在位置から近い映画館が表示され座席も指定できます。映画館についたら発券端末でチケットを発券するだけです。前に紹介した支付宝(アリペイ)などから直接予約・支払いまでできるので便利。このシステムになってから映画が身近になり、見に行く回数も増えました。発展目覚ましい中国、色んな所でショッピングモールが建設され、それに合わせてシネコンも増えています。2016年には映画館が1日あたり19スクリーン増えたらしく、2017年にはアメリカのスクリーン数を抜き世界一の映画大国となりました。ちょっと調べたら家から500mの範囲に映画館が6軒。新しいところはIMAXだったりドルビーなんとかが入っていたりと、設備も最先端。
映画館においてある発券端末。スマホの画面のQRコードを読ませるだけでチケットが出てきます。タッチパネルになっていてこの端末から購入することも可能。でも、支払いはスマホ。
そんな映画世界一の中国でハリウッドとしてはもっと上映したいけど、上で書いたように外国映画は枠が決まっているので上映できない。その枠を破る方法が「共同制作」。いろいろとルールはあるようですが、中国資本で映画を作り、中国人の俳優を出演させることで外国映画の枠から外し、自由に上映できるようにしました。最近のハリウッド映画で中国人俳優が出ていたり、中国の製品が出ていたりする場合はそれ。数年前見たインデペンデンス・デイ:リサージェンスでは唐突に中国トップの国営乳業メーカ「蒙牛」の牛乳を飲むシーンがあり、地球と月との通信も中国のメッセージングソフトの「QQ」。そして中国人女優のAngelababyが重要な役どころ。あからさまな広告っぷりに牛乳を飲んでいるシーンでは観客から冷ややかな笑いが起きました。

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ある日の映画館のスケジュール。3Dの中国映画2本、2Dの中国映画2本、日本映画1本、フランス映画1本、3Dのアメリカ映画2本2Dのアメリカ映画1本。3Dも2Dも値段はほぼ変わらず18元~25元。

映画大国となった中国ですが、マナー面ではまだまだ。上映中に電話がなるのはもちろん、通話をする人も。エンドロール途中に帰るのは当然で、以前もスタッフに「このあとはもう無い」と言われながら追い出されるのに抵抗して居座っていたら、エンドロール途中で上映が打ち切られました。ジャッキー・チェンの映画でエンドロール途中にNG集が流れていたのはそういう意味があったのかと納得。実は映画を見るという習慣がなく、日本で見た本数より中国で見たほうが多くなったかも。ただ座って見ているだけなのになぜかエネルギー使うので積極的に見に行こうとしないんですが、嫁さんに無理やり連れて行かれるので…。このゴールデンウィーク(っぽい3連休)にも「メアリと魔女の花」が公開されるっぽいんですが、嫁さんに気付かれないようにおとなしく過ごそうと思います。というわけでまた次回。

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